海外FXの注意点|国内FXとの違いやデメリットを解説
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海外FXに関する注意点は複数ありますが、それらは、口座開設・取引・出金・納税といった各段階に分けることで考えやすくなります。
各段階の注意点を理解しておくことで、トラブルが生じた場合でも冷静に対処でき、海外FXのメリットを充分に活用しながらトレードに集中できるでしょう。
本記事では、初めに国内FXとの特徴的な違いを取り上げ、続いて海外FXでの典型的な失敗例を紹介します。さらに、口座開設から税金に関する各段階の注意点も解説します。
海外FXと国内FXの特徴的な違い
まずは、海外FXの最大の魅力となるレバレッジなど、国内FXとの特徴的な違いを確認しましょう。海外FXに関するさまざまな注意点は、この違いに由来することも多いので、違いを知ることで理解しやすくなります。
なお、具体的な注意点から確認したいという方は、以下のリンクをクリックして読み進めて下さい。
海外FXと国内FXの主な違いは、一般的に以下の通りです。
比較項目 | 海外FX | 国内FX |
最大レバレッジ | 100倍以上 | 25倍 |
常設ボーナス | あり | なし |
追加証拠金 | なし | あり |
スプレッド | 変動 | 固定 |
商品数 | 豊富 | 少数 |
スキャルピング | 可能 | 禁止あり |
比較項目 | 海外FX | 国内FX |
最大レバレッジ | 100倍以上 | 25倍 |
常設ボーナス | あり | なし |
追加証拠金 | なし | あり |
スプレッド | 変動 | 固定 |
商品数 | 豊富 | 少数 |
スキャルピング | 可能 | 禁止あり |
国内FXの強みとしては、固定されたスプレッドが挙げられます。固定されていることにより、コストを前もって計算できます。さらに、スプレッドの狭さも魅力です。ドル円であれば、概ね0.2pips以下となっています。
一方の海外FXでは、時間とともにスプレッドが変動していきます。特にスキャルピングをする際には、予期せぬコストが発生することへの注意が必要です。
しかし、海外FXには、100倍以上のレバレッジが利用できるというメリットがあります。また、証拠金として使えるボーナスが提供されることもあります。さらに、追加証拠金が発生しないゼロカットの補償も、トレーダーにとって魅力的でしょう。
海外FXの三大メリット
海外FXが支持される代表的な理由として、以下の3点を挙げることができます。
- 豪華なボーナス
- ハイレバレッジ
- ゼロカット
ボーナスと高いレバレッジが提供されていることで、大きな数量の取引が簡単に行えます。例として、口座開設後に1万円分のボーナスがもらえたとします。この場合、500倍のレバレッジを適用すると、誰でも入金なしで500万円分もの取引が行えます。
また海外FXでは、ゼロカットのおかげで入金額した以上の損失が出ません。急激な価格変動により、口座残高がマイナスになってしまっても、海外FX業者がマイナス金額分を補填してくれるためです。これにより、ハイレバレッジを安心して利用できます。
一方で、国内FXでは法律によってハイレバレッジとゼロカットが禁止されており、ボーナスの制約が厳しくなっています。
FXは投機性が高いため、少ない資金を短期間で倍増させたい方が多いようです。このようなニーズに応えられることが、海外FXの魅力といえるでしょう。
ただし、ハイレバレッジやボーナスなどの特徴が、デメリットにつながってしまう場合もあります。そのようなケースは次項で解説します。
海外FX独自の特徴がデメリットにつながるケース
状況によっては、海外FXならでは特徴がデメリットになってしまうこともあります。ここでは、国内FXでは考えられないような事例を中心に紹介します。
金融庁は、日本国内の金融ライセンスを保有していない海外のFX業者に対して、警告を出しています。しかし、トレーダーが海外FXを利用しても違法性を問われることはありません。
ギャンブル的な取引で資金を溶かす
ハイレバレッジを利用するとギャンブル的な取引にもなりやすく、自制できない場合には大きな損失を被るリスクが高まります。
少ない資金で始めやすい海外FXだからこそ、「早く大きく稼ぎたい」という欲に負けてしまうのか、以下のように取引し、資金を溶かしていく例が後を絶たないようです。
取引回数 | 取引数量 | 取引結果 |
1回目 | 1ロット | 勝ち(+1万円) |
2回目 | 2ロット | 勝ち(+2万円) |
3回目 | 3ロット | 負け(-3万円) |
4回目 | 4ロット | 負け(-4万円) |
取引回数 | 取引数量 | 取引結果 |
1回目 | 1ロット | 勝ち(+1万円) |
2回目 | 2ロット | 勝ち(+2万円) |
3回目 | 3ロット | 負け(-3万円) |
4回目 | 4ロット | 負け(-4万円) |
3回目の取引の直後、トレーダーは「3万円を取り返したい」という感情に駆られます。その悔しさから、4ロットという大きな数量でエントリーするも、結局、損失を広げてしまう結果となっています。
リベンジトレードの誘惑に負けると、さらに大きな損失を招くことがあるので注意して下さい。
詐欺業者の過剰ボーナスに騙される
海外FX特有の豪華なボーナスを悪用し、詐欺を行ったとされる業者が確認されています。
よくある手口として、初めに口座開設ボーナスで誘い込み、続いて豪華な入金ボーナスを提示して入金を促します。トレーダーは、ボーナスを利用した取引で利益を上げられるものの、最終的には出金を拒否され、お金を奪われてしまいます。
このほか、経営が不安定な業者が次々とボーナスキャンペーンを打ち出し、利用者からの入金を求める事例も報告されています。驚くことに、これまで健全に経営していたとされていた海外FX業者が、急に不正行為に手を染めた事例もあります。
トラブルに巻き込まれないようにするため、典型的な手口は事前に知っておくと良いでしょう。
利用規約に違反して出金停止になる
海外FXでは利用規約に違反すると、出金停止や利益没収といったペナルティが科されます。
海外FX業者は、以下のようなルールをあらかじめ定めており、違反行為の内容によっては、口座凍結やアカウントが永久停止になる可能性もあります。
- 週明けの窓埋め狙い
- 複数口座での両建て
- 他業者間での両建て
- 指標発表時のみの取引
- ボーナスとゼロカットの悪用
必ず業者ごとの利用規約を確認し、安全な取引を心掛けて下さい。
複数の口座でEAを稼働させる場合、意図しない両建てに注意して下さい。複数口座での両建てが禁止されていれば、裁量トレードと同じくペナルティの対象になります。
ゼロカットに安心して証拠金の大半を失う
海外FXでは、ゼロカットにより追加証拠金の心配がありません。また、ロスカット水準が20%程度と低いことにより、より大きな含み損に耐えることができます。これらの特徴はメリットになることも多いですが、デメリットにつながるケースもあります。
例えば、ゼロカットに安心して、ギャンブル的なトレードを行うことがあるかもしれません。この場合、どれだけ負けても追加入金は不要ですが、ロスカットにより証拠金の80%が一気に失われる可能性もあります。また、含み損を抱えていても「ここから方向転換するかもしれない」と考えて、含み損を膨らませてしまう可能性もあるでしょう。
海外FXでトレードする場合でも、1回のトレードにつき、口座資金の2%を目安にして損切りするなど、ルールを厳守することをおすすめします。
スプレッド拡大で損切りに引っかかる
国内FXとは異なり、海外FXではスプレッドが変動します。日本時間の早朝など、取引参加者が少ない時間帯には、主要通貨ペアであってもスプレッドが大幅に拡大します。
そのため、スキャルピングなどの短期売買をする際は注意が必要です。スプレッドの拡大により、リスクリワードが悪化することや、意図しない状況で損切りをしてしまうことが想定できます。
また、EA(自動売買)を稼働させ続ける場合にも注意して下さい。スプレッドが拡大することを考慮して、損切り幅やポジション量を調整しましょう。
取引参加者が多い時間帯であれば、スプレッドが安定しやすくなります。トレードをするタイミングを取引が活発な時間帯に限定することで、無駄な損切りを減らせるでしょう。
海外FXの口座開設に関する注意点
以降では、口座開設・取引・出金・税金といった段階に分けて、海外FXに関する注意点を紹介していきます。ここではまず、口座開設に関する注意点を解説します。
安全性が低い業者を見分ける必要がある
業者選びでは、まずは安全性・信頼性を確認しましょう。ボーナスやレバレッジの高さに注目してしまいがちですが、最も重要なのは、悪質な業者を選ばないことです。
悪質な業者かどうかを見分けるためには、以下の点を確認して下さい。
- 悪い評判が少ない
- サービス実績が上向き
- 悪質な出金拒否がない
評判を調べるには、SNSのX(旧Twitter)で「〇〇 + 評判」と検索します。不正を働いた業者については、その事例と注意喚起がシェアされる傾向にあります。
サービス実績については、ユーザー数と取引量が毎年増加していれば安心です。データが得られない場合は業者の設立年数を調べ、運営実績の長さを優先すると良いかもしれません。
出金拒否は、検索エンジンやXで「〇〇 + 出金拒否」と検索すると調べられます。トレーダーの規約違反が原因でなければ、業者が不当に出金を停止している可能性があります。
目的に合った口座タイプを選ぶことが重要
海外FX業者は、複数のトレーダーのニーズを満たせるように、さまざまな取引口座を用意しています。それらは主に、以下の3つの種類に分けることができます。
口座名称の例 | 対象者 | 主な特徴 |
マイクロ | 初心者 |
ボーナス対象
高い取引コスト
少額から取引可
|
スタンダード | 全員 |
ボーナス対象
平均の取引コスト
標準的な取引環境
|
プロ | 中上級者 |
ボーナス対象外
低い取引コスト
高品質な取引環境
|
口座名称の例 | 対象者 | 主な特徴 |
マイクロ | 初心者 |
ボーナス対象
高い取引コスト
少額から取引可
|
スタンダード | 全員 |
ボーナス対象
平均の取引コスト
標準的な取引環境
|
プロ | 中上級者 |
ボーナス対象外
低い取引コスト
高品質な取引環境
|
口座によっては最低入金額が定められています。最低入金額とは、口座を使うために最低限入金しないといけない金額です。例えば、最低入金額が5万円なら、5万円以上を入金する必要があります。マイクロ口座やスタンダード口座では、最低入金額が1万円未満などですが、プロ口座では10万円などに設定されていることもあります。
口座選びに迷う場合、基本となる口座タイプであるスタンダード口座を利用してみると良いでしょう。スタンダード口座を使ってみて、トレード機能が物足りないと感じたらプロ口座へ、少額から練習したいと感じたらマイクロ口座へと変更できます。
口座タイプによってはボーナスをもらえない
一部の海外FX業者は、証拠金として使えるボーナスを配布しています。このボーナスをもらう目的で口座開設をする場合、開設する口座がボーナスの対象かどうかを確認して下さい。全ての口座がボーナスの対象であるとは限らないからです。
通常、ボーナスの対象となっているのはマイクロ口座やスタンダード口座です。取引コストを低く抑えられるプロ口座は、ボーナスの対象外となる傾向にあります。
ちなみに以下のような人には、ボーナスがもらえる口座タイプをおすすめできます。
- FX初心者である
- トレードの収入が安定しない
- 海外口座への入金に不安を感じている
口座開設ボーナスを用いれば、入金なしでリアルトレードができます。また入金ボーナスを使えば、少額の入金からでも大きな数量のポジションを保有できます。これにより、低リスクでトレードに触れる経験をすることができます。
トレードに慣れる目的なら、無料で利用できるデモ口座を使うこともおすすめです。
デモ口座の約定力はリアル口座と異なる
デモ口座とは、架空のお金を使って取引ができる口座です。ノーリスクでトレードができることから、取引ツールの操作方法を学んだり、取引手法が通用するかを試したりと、さまざまな用途で活用できます。
ただし、デモ口座の約定力はリアル口座と違っており、この点には注意が必要です。
約定力とは、ユーザーの希望通りに取引を成立させる力のことです。ユーザーが希望した注文価格とロット数にて、取引が成立(約定)しやすいほど、約定力は高いと評価されます。
デモ口座の約定力は、一般的にリアル口座よりも高くなっています。デモ口座とリアル口座では接続する取引サーバーが異なっており、デモ口座側では注文処理が少ないため、高い約定スピードと100%に近い約定率で取引できます。
例として、デモ口座とリアル口座のそれぞれで、100万通貨の注文を出したとします。このケースにおいて、デモ口座では速やかに約定したにもかかわらず、リアル口座では約定拒否をされてしまう可能性もあります。
リアル口座との違いを知った上で、デモ口座を活用しましょう。
海外FXのボーナスに関する注意点
海外FXの魅力的なボーナスには、メリットばかりではなく以下の注意点があります。
ボーナスを活用できないといった事態を避けるため、1つずつ確認していきましょう。
ボーナスの出金はできない
海外FX業者が提供するボーナスは、基本的に出金できません。
稀に、取引条件を満たすことで出金可能となるボーナスもあります。しかし、多くの場合、初心者には達成が難しい条件が設定されています。例えば、数週間以内に最低10ロット(100万通貨)以上の取引をする、といった条件となっています。
このため、ボーナスは出金できないものだと考えるほうが良いでしょう。
ボーナスはトレード専用の資金として提供されています。ボーナス自体の出金はできませんが、多くの場合、証拠金として利用できます。そして、ボーナスを使って得た利益は出金できます。
資金移動で消滅する場合がある
海外FXでは複数の口座タイプが提供されており、1つのアカウントでさまざまな種類の口座を保有することができます。そして、同じアカウント内の口座間であれば、簡単に資金移動を行えます。
ただし、資金移動によってボーナスが消えてしまうことがある点には、注意して下さい。例えば、Aという口座でボーナスをもらった後に、Bという口座に資金を移動した場合、口座Aのボーナスが消滅する場合があります。
消滅するボーナスの量は、利用する業者によります。移動した自己資金の量に比例することもあれば、資金額に関わらず、全額消滅する場合もあります。
税金が発生するボーナスがある
ボーナスを受け取ったことで、税金が発生する場合があります。
税金が発生するかどうかは、「ボーナスをもらったことで出金できるお金は増えたか」という点を考えると分かりやすくなります。出金できるお金が増えるなら、収益が増えたと見なされ、税金が増える可能性があります。一方で、出金できるお金が増えないなら、支払う税額に影響しないと考えられます。
ボーナスと税金の関係をイメージするために、いくつかのケースを考えてみましょう。
まず、トレードの証拠金として使えるボーナスをもらったら、税金は発生するでしょうか。この場合、いくら受け取っても税金は発生しないと考えられます。そのようなボーナスは、基本的に出金できないためです。
続いて、もらったボーナスが、特定の条件を満たすことで現金に換金できる場合はどうでしょうか。このケースでは、受け取った時点では税金が発生しないでしょう。しかし、特定の条件を達成し、ボーナスを現金に換金したなら、その時点で課税対象となると考えられます。
証拠金として使えないボーナスがある
海外FXのボーナスには、証拠金として利用できないものもあります。このボーナスは、「クッション機能がないボーナス」とも呼ばれています。
証拠金として使えるボーナスは、クッション機能付きとも表現されます。一方、証拠金として使えないボーナスは、クッション機能なしと表現されることがあります。
クッション機能の有無によって、ボーナスの使い勝手は大きく変わります。
クッション機能付きであれば、自己資金がなくなってしまっても、残ったボーナスでトレードを続けられます。一方でクッション機能がない場合、自己資金が消えるとボーナスも消え、取引を続けることはできません。
したがって、ボーナスがもらえる場合は、クッション機能の有無も確認したほうが良いでしょう。
確認の際に注意したい点は、同じ業者が提供しているボーナスであっても、クッション機能の有無が異なるケースがあるということです。例えば、海外FX業者の中には、以下のような入金ボーナスを提供しているところがあります。
A社のボーナス | クッション機能 |
100%入金ボーナス | なし |
20%入金ボーナス | あり |
40%入金ボーナス | あり |
A社のボーナス | クッション機能 |
100%入金ボーナス | なし |
20%入金ボーナス | あり |
40%入金ボーナス | あり |
上記の3種類のボーナスは、同じ業者が配布する入金ボーナスです。いずれも同じようなボーナスですが、還元率の違いによってクッション機能の有無が分かれています。
このようなケースもあるので、ボーナスの仕様は細かく確認しておきましょう。
海外FXのトレードに関する注意点
数百倍のレバレッジを効かせられるなど、海外FXの取引環境は国内FXと大きく異なります。ここでは、海外FX特有のトレード関連の注意点を解説します。
いずれも収益への影響が大きいため、しっかり把握しておきましょう。
スプレッドが広がる時間帯がある
国内FXのスプレッドが固定であるのに対し、海外FXのスプレッドは時間とともに変動します。取引量が少ないなら広く、取引が活発なら狭くなります。
そのため海外FXでは、取引量が少なくなるタイミングでのトレードは避けるのが無難です。特に、以下のタイミングはスプレッドが広がる傾向にあり、注意が必要となります。
- 日本時間の早朝
- 要人発言の前後
- 経済指標発表の前後
- 突発的なイベント直後
上記のタイミングにトレードを控えることで、スプレッドの広がりによる無駄な損切りを避けられます。突発的なイベントを予想することは困難ですが、それ以外は予想可能であり、避けることは十分可能です。
逆に、取引が活発な時間帯のトレードはおすすめできます。取引量が多くなるのは、日本時間の午後9時頃から翌日の午前2時頃です。このような時間帯は、スプレッドが狭い水準で安定しやすいので、特にスキャルピングを行う場合は恩恵を受けやすくなります。
スプレッドの広がり具合は、海外FX業者ごとに異なる部分もあります。中には、一定の時間帯はゼロスプレッドに固定するといった業者もあります。業者を使い分けることにより、実質コストを削減できる可能性があります。
両方マイナススワップになるケースがある
海外FXでは、買いと売りの両方で、マイナスのスワップポイントが発生することがあります。スイングトレードをする場合は、この点に気を付けて下さい。マイナススワップが小さい口座やスワップフリー口座を探してみるのも良いでしょう。
また、プラスのスワップポイントをもらって、すぐに決済したい場合にも注意が必要です。スワップポイントが発生するのは、夏時間であれば午前6時頃、冬時間であれば午前7時頃です。これらのタイミングはスプレッドが広がりやすいため、受け取ったスワップポイント以上にスプレッド分のコストが大きくなる可能性があります。
NDD方式が有利とは限らない
国内FX業者と海外FX業者は、異なる取引方式を採用しています。一般的に、国内FXで採用されているのはDD方式、海外FXで採用されているのはNDD方式です。
NDD方式であることがメリットとなるケースもありますが、デメリットとなることもあります。例えば、有利なスプレッドを提供しやすいのはDD方式です。
DD方式では、トレーダーが出した注文は、いったんFX業者が相手方となり成立させます。FX業者と直接取引する形となるため、FX業者は独自にスプレッドを決められます。業者間の競争が激化していることもあり、多くの国内FX業者は、スプレッドを狭い数値に固定しています。
これに対してNDD方式では、トレーダーの注文が直接市場に送られるようなイメージとなります。外部の市場価格を基にした売買となるので、提供されるスプレッドは外部市場の影響を受けて変動します。
またNDD方式の構造上、FX業者はスプレッドに自社の取り分を上乗せする必要があります。これにより、海外FXの一部の口座では、スプレッドが広くなっています。
このように、NDD方式が必ずしも有利ではない場合があるため、注文の特性や取引の時間帯なども考慮して取引を行いましょう。
NDD方式にはメリットも複数あります。メリットの例として、取引の公正性が高いことが挙げられます。NDD方式では、FX業者とトレーダーは利益相反の関係になりません。したがって、トレーダーを負かすことを目的として、FX業者が不正な価格操作を行うことが基本的に起こりません。
スプレッド + 取引手数料で比較する
海外FXで口座選びをする際は、スプレッドだけでなく、取引手数料も考慮するようにしましょう。スプレッドが狭い代わりに、取引手数料が発生する口座も提供されていますので、スプレッドのみを比較する場合、適切な比較とならない可能性があります。
例として、1ドル150円のときに、ドル円を1ロット(10万通貨)取引するケースを考えてみましょう。以下のようなA社とB社がある場合、どちらで取引するほうが有利でしょうか。
比較項目 | A社 | B社 |
スプレッド | 0 pip | 0.5 pips*1 |
取引手数料 | 5ドル | なし |
実質コスト | 750円 | 500円 |
比較項目 | A社 | B社 |
スプレッド | 0 pip | 0.5 pips*1 |
取引手数料 | 5ドル | なし |
実質コスト | 750円 | 500円 |
*11pipあたりの損益は「契約サイズ(100,000通貨)× ロット数 × 0.01」で計算されます。
スプレッドだけで比較すると、コストを抑えやすいのはA社です。しかし、取引手数料を考慮した実質的なコストで比較すると、B社のほうが有利だと分かります。
海外FXでは通常、取引手数料を米ドル(USD)で支払います。そのため、円安が進むと日本円(JPY)に換算した際の金額が高くなります。
海外FXの出金に関する注意点
海外FXの出金に関する3つの注意点を解説します。
本人確認書類を提出しないと出金できない
海外FX業者からの出金は、本人確認を完了させなければできません。海外FX業者はマネーロンダリングを防止するために、本人確認書類と出金先の口座が一致することを確かめる必要があるためです。
マネーロンダリング(資金洗浄)とは、犯罪行為で得たお金を、正当な手段で得たものと見せるための行為です。捜査機関による差し押さえを避けるために、資金を個人口座や海外FX業者の口座など、さまざまな口座を経由させるなどします。
本人確認を完了させるには、運転免許証やマイナンバーカード、パスポートなどを提出する必要があります。書類が用意できない場合などは、完了までに数日かかることもあるので、本人確認は早めに終わらせておいたほうが安心です。
なお、提出することに抵抗のある人もいるかもしれませんが、これらの手続きは海外FXに限らず、日本の金融機関でも行われています。利用する業者がある程度安全だと考えられる場合、過度な心配が不要であるケースも多いでしょう。
海外FX業者から出金できない銀行がある
海外FX業者から日本の銀行へ送金するには、その日本の銀行がSWIFTコードを持っている必要があります。つまり、SWIFTコードを持っていない国内銀行への出金はできません。
SWIFTコードは、「SWIFT」というシステムを用いた国際送金の際に使われます。送金側の銀行は、SWIFTコードを使って受取側の銀行を特定します。
そのほか、海外FX業者から国内銀行に送金した際に、国内銀行から情報提供を求められることがあります。これは日本の法律と規制に基づいての対応です。このような場合は、速やかに求めに応じるようにしましょう。
クレジットカード入出金には制約がある
クレジットカードによる入出金は便利ですが、制約もあります。
まず、クレジットカードでの出金は、そのカードで入金した金額までしかできないというルールがあります。これはマネーロンダリングを防止するためです。
また、クレジットカード会社によっては、海外FX業者への入出金を許可していない場合があります。このケースでは、FX業者が使用を許可していてもカードを利用できませんので注意して下さい。
海外FXの日本語サポートに関する注意点
多くの海外FX業者は、日本語サポートを提供しています。このサポートは、取引条件を細かく確認したい際や、各種手続きで困った際などに頼りになります。
しかし、以下のような対応をされることがあります。
全ての海外FX業者に当てはまることではありませんが、把握しておきましょう。
自動翻訳やAIチャットボットで対応される
簡単なことを質問するなら、ライブチャットが便利です。
しかし、ライブチャットを利用しても、満足できる回答を得られないケースがあります。例えば、日本人スタッフの数が少ないFX業者では、外国人スタッフが自動翻訳を使って対応する場合があります。この場合、日本語の翻訳が不十分で、質問の細部が伝わらないことがあります。
また、チャットボットによる対応が中心となっている業者もあります。そのような場合、ピンポイントで自身の悩みを解決できないことも少なくないでしょう。
サポートの充実度を重視するなら、口座開設の前に、手続きに関する内容をチャットとメールで質問してみて下さい。良い回答が得られれば、実際の取引で疑問が生じた際も、丁寧に対応してもらえると期待できます。
マニュアル通りの回答でやり過ごそうとされる
ライブチャットで回答してくれるサポートスタッフには、マニュアル通りの回答でやり過ごそうとする人もいます。もし、はっきりとしない回答を受け取り、疑問が解消しなかったなら、さらに追加で質問をしてみて下さい。
専門性の高い質問をしたい場合は、初めからメールで質問するほうがスムーズかもしれません。メールでのサポートを使うと、回答を得るまでにしばらく時間がかかりますが、多くの場合、経験豊富なスタッフに回答をしてもらえます。そのため、1度質問をするだけで的確な回答を得られることが多いです。
優れたサポートを提供する海外FX業者では、サポートスタッフが他部門と連携を取りながら回答をしてくれます。例えば、ユーザーに数分間待ってもらい、その間に担当部署に確認し、正確な情報を伝えるといった対応をしてくれます。あるいは、その場で回答を行わず、後日メールで回答ができるように手配してくれます。
海外FXの税金に関する注意点
海外FXの税金について、検索数が多い内容から3つを選び、それぞれの注意点を解説します。
たくさん稼ぐと税金が高くなる
海外FXと国内FXでは税金の計算方法が異なります。
まず、税金がかかる対象が異なります。国内FXでは、FXで上げた所得に税金がかかります。一方で、海外FXにおいて税金がかかる対象は、FXで上げた所得だけではありません。そこに給与所得の金額などを合算した値に税金がかかります。
また、税率も異なります。復興特別所得税を除くと、国内FXでは一律で約20%です。これに対して、海外FXでは、所得に応じて税率が異なります。
課税所得額 | 所得税率 | 住民税率 |
1,000円~194万9,000円 | 5% | 10% |
195万円~329万9,000円 | 10% | |
330万円~694万9,000円 | 20% | |
695万円~899万9,000円 | 23% | |
900万円~1,799万9,000円 | 33% | |
1,800万円~3,999万9,000円 | 40% | |
4,000万円以上 | 45% |
課税所得額 | 所得税率 | 住民税率 |
1,000円~194万9,000円 | 5% | 10% |
195万円~329万9,000円 | 10% | |
330万円~694万9,000円 | 20% | |
695万円~899万9,000円 | 23% | |
900万円~1,799万9,000円 | 33% | |
1,800万円~3,999万9,000円 | 40% | |
4,000万円以上 | 45% |
上記の表の通り、税率は所得額が増えるにつれて段階的に上がり、最大で55%になります。
海外FXでは、ハイレバレッジにより大きく稼ぎやすくなっていますが、たくさん稼ぐと税金が高くなるという性質があります。そのため、確定申告や税金の仕組みを理解し、適切に節税対策を行うことが重要です。
税金に抜け道はなく脱税はバレる
海外FXでは、海外の事業者が提供する口座を使います。このため、利益を多少ごまかしても、税務署に知られないと考える人もいるかもしれません。
しかし、脱税や悪質な課税逃れはバレると考えるほうが賢明です。税務署は必要に応じて調査する権限を持っているためです。脱税や悪質な課税逃れが発覚した場合、加算税や延滞税などを追加で支払わなければいけないので、正しく申告して下さい。
サラリーマンの副業は住民税でバレる恐れ
FXで稼いでいる場合、確定申告の進め方によっては、副業をしていることを勤務先に疑われる可能性があります。FXなどで所得が増えると住民税が増え、この増えた住民税が会社の経理に確認されると、給与以外に収入源があると分かるからです。
このような状況を避けるには、確定申告する際、住民税を自ら納付する普通徴収を選択して下さい。普通徴収を選ぶことができれば、上記のようにして会社側に知られる可能性がなくなります。
ただし、自治体によっては普通徴収にできないケースもあるかもしれません。心配な場合は、先に自治体などに確認しておきましょう。
注意点やデメリットを理解して海外FXを活用しよう
海外FXには独自の特徴があり、その特徴を活かすことができれば、多くのメリットを享受できます。しかし、上手く活かせなければデメリットが増え、トレードにおける負担になるかもしれません。
海外FXで取引をするなら、メリットを最大限に引き出すことを目指しましょう。そのためには、事前にしっかりとリサーチを行い、疑問を解決しておくことが重要です。適切な準備と知識をもって臨めれば、より安心して取引を行うことができ、海外FXの可能性を存分に活かすことができるでしょう。
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