海外FXでの出金拒否は本当?直近数年の事例や被害に遭った際の対処法を解説
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海外FX業者による出金拒否は、SNSでときおり話題に上ります。
「出金拒否はない」と紹介しているサイトが多い一方で、SNSでは実際に被害に遭ったと報告する人もいます。実態はどうなのか、気になる方も多いでしょう。
ユーザーの勘違いで出金拒否と誤解されたケースが大半ですが、各FX業者が定めた規約に違反したことで、利益の出金を断られたケースも実際にはあります。10年以上海外FXに関わってきたFXON運営チームが、海外FXでの出金拒否の事例について包み隠さず解説します。
出金拒否の主な原因は悪質な業者を利用したこと、ユーザーがルールに反したことの2つであり、それらを理解すればトラブルに遭いにくくなります。
海外FX業者による出金拒否の原因
海外FX業者を利用していて、「出金拒否」との噂が立つ原因を紹介します。
悪質な業者による出金拒否
悪質なFX業者による詐欺手口を紹介します。詐欺業者を利用してしまうと、預けた資金を出金することは難しくなります。
よくある詐欺手口
「運用は代行するので、入金さえすれば稼げる」といった勧誘をする業者にはご注意下さい。運用代行をうたって入金させるのは定番の詐欺手口です。
勧誘者は詐欺目的で設立されたFX業者に入金するよう誘導します。そして、運用代行で利益が出ている証拠を見せますが、しばらくすると運用に失敗したと連絡してきます。実際には運用はしておらず、資金は詐欺グループのものになっているという仕組みです。
コピートレードなど、熟練トレーダーの戦略をコピーする機能は通常のFX会社でも存在し、詐欺ではないサービスもたくさんあります。しかし、運用代行をうたう知名度の低い業者は積極的に利用すべきではありません。
MetaTrader4(MT4)やMetaTrader5(MT5)に対応していることをアピールし、ユーザーを安心させようとする詐欺業者も存在します。
MT4やMT5は世界中のトレーダーに利用されているプラットフォームであり高性能です。しかし、MT4やMT5との契約は比較的簡単に行えるため、それだけで信用するのは危険です。
2022年に数多く報告された手口
2022年には悪質な海外FX業者の手法として、マッチングアプリやSNSを利用した投資勧誘の手口が報告されています。例えば、以下のような流れで出金を拒否され、最終的に資金を失ってしまいます。
- SNSで異性とつながる
- FXを勧められ、業者を紹介される
- 入金してサービスを利用する
- 画面上の利益は増えるも出金は不可
- 異性との連絡がつかなくなる
悪質業者による詐欺はやっかいなものです。ただし、信頼できるFX業者を選ぶことにより被害は避けられるので、過度に深刻に捉える必要はありません。他人に勧められたFX業者をそのまま利用しないなど注意しましょう。
ルール違反による出金拒否
詐欺目的の業者を利用していない場合も、出金拒否を受ける可能性があります。この出金拒否の原因の多くは、FX業者が定めるルールへの違反です。
あるプラットフォームでは可能であっても、別のプラットフォームでは禁止とされることもあります。知らずしらずのうちに違反してしまうことも考えられますので、事前に規則を確認しておきましょう。
禁止されることのある手法として、以下のようなものが挙げられます。
- 両建て
- 窓狙い
- スキャルピング
- アービトラージ
- サーバーエラー狙い
- 指標発表時の高レバレッジトレード
ここでは例として、両建てと窓狙いが禁止される理由を解説します。FX業者にとっては、どちらのトレードも損失を肩代わりさせられる可能性のある手法です。
両建てが禁止される理由
海外FX業者のほとんどは、異なる業者間での両建て(特にボーナスアービトラージ)を禁止しています。なぜ禁止とされるのでしょうか。
業者Aと業者Bに10万円ずつ入金し、10万円ずつボーナスを受け取ったと仮定します。さらに、業者Aでは20万円を使ってドル円でロング、業者Bでは20万円を使ってドル円でショートしたとします。この状態でドル円が上昇すると、Aの口座で利益が出て、Bの口座では損失が出ます。
同じタイミングで両建てすると片方の口座の利益額は、もう片方の口座の損失の金額と一致します。したがって、Aの口座で利益20万円のときは、Bの口座で損失20万円になると考えられます。しかし、B口座の資金20万円のうち、ボーナス分が10万円なので、トレーダーの自己資金の損失は10万円のみです。
そのため、トレーダーは10万円の損失で20万円の利益を得たことになります。一方、海外FX業者の立場からすると、損失したボーナス10万円分を顧客に代わって負担したことになります。このため、両建てによるノーリスクのトレードを禁止する海外FX業者が多いのです。
両建てなどの禁止行為を行った場合、利益の出金拒否や口座凍結といったペナルティの対象となる恐れがあります。
窓狙いが禁止される理由
FX用語の「窓」とは、ローソク足とローソク足の間に発生する空白のことです。1つ前のローソク足と、次のローソク足の価格が乖離することで発生します。
週末にかけて、為替レートに大きな影響を与える出来事があった場合、週末のクローズ時点のレートから大きく乖離したレートでオープンします。そのため、週末時点の損益から、大きく利益が出る可能性もありますし、反対に大きな損失が出る可能性もあります。
窓狙いのトレードはトレーダーにとってはメリットが目立ちますが、FX業者にとっては顧客の損失を引き受ける恐れのある手法です。
例として、あるトレーダーが原資10万円で週末に大きなポジションを持つとします。窓狙いのトレードが成功し、利益が50万円出たら、50万円がそのまま利益となります。
逆に大きな損失が出ることもありますが、もし損失が50万円出ても、トレーダーの損失は10万円のみとなります。ゼロカットシステムにより、残りの40万円はFX業者に負担してもらえるためです。
ゼロカットシステムとは、強制ロスカットが間に合わず、トレーダーが証拠金以上の損失を抱えてしまった際に、FX業者が損失分を補填する仕組みのことです。
両建ては明確に禁止されていますが、窓狙いのトレードをしたことを理由として出金拒否をされたという事例はあまり報告されていません。窓狙いはトレード手法の一種とも考えられるためでしょう。
しかし、窓狙いのトレードをしたことを理由として、ゼロカットの適用対象外になったケースはあるようです。
手続きミスによる出金遅延や出金失敗
手続きミスによる出金遅延や出金失敗が「出金拒否」として広まっている可能性も考えられます。手続きミスの場合、下記の4つのポイントを確認することで、早期解決につながることがあります。いずれもサポートに問い合わせを行い指示を仰ぐのが良いでしょう。
- 本人確認を終えていない
- 入金時と異なる手段を選んでいる
- クレジットカードでの出金額が入金額以上
- 出金不可のボーナスを出金しようとしている
多くの海外FX業者はマネーロンダリング防止に努めています。本人確認済みであることや、入金時と同じ手段であることは、マネーロンダリング防止を目的としたルールです。
マネーロンダリング(資金洗浄)とは、不当に獲得した現金の出所を不鮮明にする行為を指します。
クレジットカードの出金金額が原因となり、出金ができないこともあります。
海外FX業者からのクレジットカード出金は、入金をキャンセルする形で行われます。そのため、入金額を上回る出金はできないのです。入金した金額分はクレジットカードで出金し、残りの金額は別の手段で出金することになります。
クレジットカード決済は手軽ですが、FXの入出金手段として利用する際は、金額に制限がある点に注意しましょう。
分別管理がされていないFX業者の経営破綻
分別管理とは、顧客資金と会社運営用の資金を別々に管理する体制です。分別管理が採用されていない場合、運営会社が破綻すると、顧客資金が返還されない恐れがあります。
ただし、FX業者の多くは拠点国の法律に従って分別管理を行っていますので、過度な心配は不要です。以前、日本撤退時に顧客資金を出金させなかった業者がいるとSNSで話題になりましたが、このときも時間はかかったものの返還されたようです。
規制の関係で、海外FX業者の撤退は頻繁に発生しています。ほとんどの業者は撤退時の処理は適切に行っていますが、まれにそのような事例が発生します。上記の例から、日本市場からの突然の撤退もリスクといえます。撤退リスクをケアするためには、日本語対応が充実したFX業者を選ぶほうが良いでしょう。
海外FXでの出金トラブルを防ぐポイント
海外FXでの出金拒否の原因や出金ができない事例をもとに、トラブルを防ぐ3つのポイントを紹介します。
悪質な業者を見抜く
悪質な業者にだまされないためには、「運用代行をうたう詐欺」などの手口を知り、疑わしい場合には自身で業者を調べて下さい。例えば、公式サイトのアクセス数や、公式サイトに掲載されたコンテンツを確認します。
サイトの外見は簡単に取り繕うことができます。しかし、アクセス数まで偽装する業者は少数でしょう。アクセス数は「アクセス数 調べ方」などと検索すれば、無料で調べられるツールが見つかります。
公式サイト内のコンテンツは、公式サイト内から確認できます。極端に量が少ない場合や、質が低い場合、そのFX業者は利用しないほうが良いでしょう。
怪しい業者かどうかを見分けるポイントは、アクセス数やコンテンツの質以外にもあります。
例えば、サイト内の日本語も悪徳業者を見抜く手がかりになります。機械翻訳にかけたような不自然な日本語であれば、それはコピーサイトかもしれません。また、公式サイトに問い合わせフォームが設定されているか、運営会社が実在するのかを確認してみるのも良いでしょう。
信用できるFX業者を選ぶ
悪質な業者を取り除いた上で、信用できるFX業者かどうかを判断します。ここでは、判断基準に利用できる2つのポイントを紹介します。
分別管理や信託保全を実施している
分別管理や信託保全は、どちらもユーザーの資金と運営側の資金を別々に管理する体制を指します。いずれかが採用されていれば、ユーザーの資金が運営のために利用されることはありません。
分別管理と信託保全のうち、より安全度が高いのは信託保全です。分別管理では運営会社によって別々に管理されますが、信託保全では外部機関にトレーダーの資産が預けられるためです。
ただし、信託保全は義務ではないため、採用する海外FX業者は少数です。そのため、分別管理か信託保全を採用しているかをチェックすると良いでしょう。
金融ライセンスを保有している
金融ライセンスの取得有無は、FX業者が安全かどうかを確認する上での重要な基準です。
金融ライセンスは規定をクリアした事業者のみが取得できます。そのため、金融ライセンスを保有しているということは、一定の水準以上であると外部機関に認められたことを意味します。
ライセンスの取得難易度は発行する国によって異なりますが、金融ライセンスを取得している業者のほうが安心です。
人気のある海外FX業者の多くは、サービスの使い勝手を優先して日本の金融庁の許可を受けていません。日本の金融庁に従う場合、高いレバレッジやゼロカットシステムなどの人気のある仕組みを採用できなくなります。
禁止事項や出金ルールを把握する
どのようなFX業者を利用する場合でも、禁止事項や出金ルールを把握していなければ、出金トラブルに遭う可能性があります。
たいていの場合、これらの規則は口座開設時に提示されます。また、口座開設を検討中の人でも、口座開設後の人でもヘルプぺージなどから確認できるようになっています。問い合わせを利用することも可能です。
出金拒否が疑われる場合の対処法
出金拒否に遭ったと感じた際にとりたい対処方法を紹介します。
取引業者に問い合わせる
出金拒否が疑われる状況で真っ先に行いたいのは、取引業者への問い合わせです。取引業者から適切な説明を受けることができれば、状況の改善につなげられる可能性があります。
チャットで問題が解決しない場合、チャットではなくメールから行うことをおすすめします。多くの海外FX業者では、リアルタイムのチャットを提供するために多くの人員を採用しており、比較的新人のスタッフがチャットで簡単な対応をし、ベテランのスタッフがメールを含めた複雑な対応をするという作業分担になっています。また、やりとりの記録を残すという点でも、メールのほうが適しています。
取引業者に問い合わせをしても十分な説明を受けられない場合は、他の方法の利用を検討します。
消費者ホットラインを利用する
消費者ホットラインは、最寄りの消費者センターや国民生活センターにつながる電話番号です。悪質な業者から消費者を守るためのものであり、専門のスタッフに相談することができます。
海外拠点の事業者に対して国内法は適用されませんので、事態の解決はあまり期待できません。しかし、利用したFX業者が国内を拠点とする詐欺グループであり、他にも同様の被害が出ていた場合には、関連情報を得られる可能性があります。
ライセンス発行国の管轄当局に連絡する
相手方が金融ライセンスを保有するFX業者であるなら、ライセンス発行国の管轄当局に連絡するのも対処法の1つです。具体的な方法は管轄当局の取り決めによりますが、苦情を申し入れることができます。
英語で連絡しなければならず、この点がネックとなります。しかし、他に手段がない場合は、機械翻訳を利用するなどして連絡してみるのが良いでしょう。
出金拒否のリスクは下げられる
海外FX業者による出金拒否の大半は、悪質な業者やルールに反したことに起因します。たとえ取引によって利益を得ても、出金ができなければ実際の利益にならないため、きちんと出金できるかどうかが重要です。
そのため、悪質な業者を避け、各FX業者が定める規則を把握できれば、出金トラブルに遭うリスクは下がります。
ハイレバレッジや豊富な取扱い銘柄など、自由度の高い取引環境が海外FXの魅力の一部です。せっかく海外FX業者を利用するなら、出金トラブルを未然に防げるよう工夫したいですね。
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貴重な意見をいただきありがとうございます。
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