海外FXでトラリピは可能? メリット・デメリットや利益を得るポイント
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海外FXでは、正式なトラリピの運用はできません。しかし、EA(自動売買プログラム)を利用して、トラリピを再現することは十分可能です。
海外FXにはゼロカットシステムや高いレバレッジなど、国内FXにはない独自のメリットがあります。そのため、海外FXでトラリピを利用することによって得られる恩恵もあります。
この記事では、トラリピを海外FXで使うメリット・デメリットや、トラリピで利益を得るためのポイントについて解説します。
トラリピとは?
トラリピは、国内FX業者のマネースクエアで利用できる自動売買サービスです。トラップ・リピート・イフダンの略称であり、イフダン注文を基とした取引を実行します。
イフダン注文(IFD注文)とは、エントリー注文と決済注文を同時に出す注文方法のことです。
基本的にトラリピでは、エントリー注文と利確の決済注文が同時に出されます。そして、エントリー注文の約定から利確までが完了すると、同様の注文が自動発注されます。
これによって以下のように、注文が自動で繰り返されます。
トラリピではさらに、上の形式の注文を、あらかじめ設定した価格範囲に複数仕掛けます。すなわち、以下の画像のように、対象の価格範囲に注文を張り巡らせ、エントリーと利確、イフダン注文の自動発注を繰り返すイメージです。
トラリピによる取引では、細かな利益の積み上げを狙います。
一般的にFXの取引では、優位性の高い戦略を取ることが重要とされています。しかし、戦略を使いこなすには時間がかかります。また戦略が用意できても、感情に流されてルール通りに実行できないこともあります。
トラリピは機械的に売買するので、これを使えば誰でも、用意された戦略に従った取引ができます。そのため、初心者でも安定した利益を得られる可能性があります。
海外FXでも実質的にはトラリピを使える
トラリピは、国内FX業者のマネースクエアでしか利用できません。つまり、正式なトラリピを海外FXで使うことはできません。
しかし海外FXでも、トラリピと同じような機能のEA(自動売買プログラム)なら運用できます。そのため、海外FXでトラリピを使うことは、実質的には可能だといえるでしょう。
海外FXには、国内FXにはないメリットが多くあります。そのメリットを活かすことで、国内FX業者で取引するよりも有利にトラリピを利用できる可能性があります。
海外FXでトラリピを使うメリット
先述の通り、トラリピに類似するEAを使えば、海外FXでもトラリピと同様の戦略を実行できます。このようにトラリピ戦略を実行することには、以下のようなメリットがあります。
ゼロカットにより損失を限定できる
トラリピを行う上で、ゼロカットシステムが採用されていることは大きなメリットとなります。ゼロカットシステムとは、口座残高がマイナスになっても追証(追加入金の要求)が発生しない仕組みで、海外FXならではのサービスの1つです。
トラリピでは多くのポジションを抱えることもあるため、想定外の値動きによって大きな損失を出す恐れがあります。しかし、ゼロカットシステムが採用されている海外FX業者を利用すれば、追証が発生しません。
ゼロカットシステムが採用されている場合、入金額以上の損失を防げます。入金した金額と獲得した利益を失うことはありますが、追加入金を求められることはなく、この点で安心感があります。
高いレバレッジをかけられる
海外FX業者は国内FX業者よりも高いレバレッジを提供しています。
国内FXでは金融庁のレバレッジ規制により、レバレッジは25倍までと決められています。しかし海外FXでは、数百倍〜数千倍のレバレッジで取引することが可能です。
高いレバレッジをかけられることで、少ない資金から取引を始められます。例として、1ドル150円のドル円を、1ロット(10万通貨)取引するケースを考えてみましょう。必要になる証拠金は、レバレッジ25倍のときとレバレッジ500倍のときでは、以下のように大きく変わります。
レバレッジ | 必要証拠金 |
レバレッジ25倍 | 600,000円 |
レバレッジ500倍 | 30,000円 |
レバレッジ | 必要証拠金 |
レバレッジ25倍 | 600,000円 |
レバレッジ500倍 | 30,000円 |
海外FXの高いレバレッジを使えば、少ない証拠金で多くの注文を仕掛けることができます。これにより、トラリピの効果を高められる可能性があります。
また、小資金でも大きなポジションを保有しやすくなるため、小さな値幅からでも利益を得ることができます。これは、トラリピの特徴である細かい利益の積み重ねを実現しやすくします。
ボーナスで資金効率を高められる
一部の海外FX業者では、証拠金として利用できるボーナスを受け取れます。
ボーナスとは、海外FX業者がサービスで配布している資金のことです。出金することはできませんが、多くの場合、証拠金として利用できます。
一定金額以上の入金や取引、口座開設などがボーナス獲得の条件とされます。
ボーナスを使えば、実際に入金した金額よりも多くの証拠金を使って取引ができるため、資金効率が高まります。また、ボーナスを証拠金として使うことで、その分だけ必要な入金額が減ります。海外FXでは入金額以上の損失は出ないので、入金額が減ることによって最大損失額を限定することもできます。
ボーナスには上記のようなメリットがあるため、ボーナスが活用できるという点も、海外FXでトラリピを行うメリットです。
ただし、ボーナスがもらえる口座では、スプレッドが広く設定されている傾向にあります。そのため、十分な取引資金を用意できるなら、ボーナスよりもスプレッドを重視したほうが最終的に利益を伸ばせる可能性があります。
大きな含み損に耐えられる
海外FXでトラリピを使う場合、より大きな含み損に耐えることができます。海外FXでは、ロスカット水準がより低く設定されているためです。
海外FX業者と国内FX業者のロスカット水準を比べてみると、その違いがよく分かります。
FX業者 | ロスカット水準*1 |
A社 | 20% |
B社 | 20% |
C社 | 0% |
D社 | 20% |
E社 | 20% |
FX業者 | ロスカット水準*1 |
A社 | 20% |
B社 | 20% |
C社 | 0% |
D社 | 20% |
E社 | 20% |
*1証拠金維持率です。
FX業者 | ロスカット水準*1 |
F社 | 100% |
G社 | 50% |
H社 | 100% |
FX業者 | ロスカット水準*1 |
F社 | 100% |
G社 | 50% |
H社 | 100% |
*1証拠金維持率です。
トラリピでは、最初に指定したレンジ幅を逆方向に抜けてしまうと、含み損が大きくなります。ロスカット水準の低い海外FX業者を利用すれば、含み損に耐えられる幅を広げることができます。
スワップポイントの負担を軽減できる
トラリピでは、ポジションごとに指定したレートに到達するまでポジションを保有し続けます。保有する日数が長くなると、スワップポイントによる損失が増える恐れがあります。
しかし、スワップフリーで取引できる海外FX業者を利用すれば、マイナススワップが発生しないため、ポジションを長く保有した場合のコストを抑えることができます。また、マイナススワップ銘柄も気にせず取引することができ、選択肢の幅が広がります。
例として、ショートポジション(売り)を141円で持ち、利確する価格を140円に設定したケースを考えてみましょう。エントリー注文の約定後、相場がすぐに140円に到達せずに上昇した場合、ショートポジションは決済できず、その間毎日マイナススワップが発生します。
仮に国内FX業者A社でドル円を1ロット保有していたとします。2023年11月5日時点でのスワップは毎日1,200円ほどです。ショートポジションを持ってから10日後に140円で決済した場合、約12,000円のマイナススワップが発生します。
ポジションを保有する日数や銘柄によっては、スワップポイントの負担は大きくなります。この負担を避けやすくなるという点で、スワップフリーで取引できる点はメリットです。
海外FXでトラリピを使うデメリット
海外FX業者でトラリピを使うことにはデメリットもあります。
海外FX業者でのトラリピ利用を検討している方は、必ず把握しておきましょう。
設定に手間がかかる
海外FX業者でトラリピを使うためには、まずトラリピのルールで取引ができるEA(自動売買プログラム)を入手する必要があります。さらに、購入したEAをMT4/MT5に導入し、設定や稼働テストをしなければなりません。
マネースクエアでトラリピを使う場合、注文画面から通貨ペア、売買方向、レンジ幅、注文金額、トラップの本数(注文値幅)、利益値幅を設定するだけで利用できます。海外FX業者でトラリピを利用する場合と比べ、設定が簡単です。
海外FX業者でトラリピを行うことのメリットは大いにありますし、トレードツールの操作に慣れていない場合、設定の段階で苦労する可能性があるでしょう。
トラリピのEA購入にコストがかかる
国内FXでは、無料でトラリピを始めることができます。一方で、海外FXでトラリピを使うには、トラリピ用のEAを購入する必要があります。トラリピ用のEAは、有料で販売されているものが多く、数万円以上の高額なものもあります。
好きなEAを選べるという点ではメリットになりますが、購入コストがかかることや、自分で選ぶ必要がある点はデメリットとなります。
海外FX業者でトラリピをする場合は、EAの購入費用を含めたコストとリスクを理解しておきましょう。
高価なEAを使うほど勝てるというわけではありません。自分が求めている機能があるかなども確認しておいて下さい。
VPSのコストがかかる
自動売買を稼働させる際は、VPS(仮想専用サーバー)を利用することが一般的です。このVPSを利用するには、毎月数千円程度の費用が発生します。
VPSを利用しない場合、パソコンの電源を切るとEAが停止してしまい、自動売買ができなくなります。また、パソコンのアップデートや不具合により、正常に取引が行われない可能性があり、思わぬ損失を被るリスクがあります。
このような事態を避けるためにも、VPSの導入は必須レベルといえます。海外FXでトラリピを使用する場合は、継続的なVPSの利用コストを見込んでおく必要があるでしょう。
スプレッドが広い
海外FXでは、国内FXに比べてスプレッドが広い傾向にあります。
トラリピは取引回数が多くなりやすいため、スプレッドの狭さは重要な要素の1つです。特に狭いレンジ幅で取引する場合、獲得できる値幅が短いため、スプレッドによる影響を受けやすくなります。
マネースクエアでは、手数料無料(一部対象外の取引あり)かつ、比較的狭いスプレッドでトラリピを利用できます。そのため海外FX業者を選ぶと、相対的に利益を減らす恐れがあります。
しかし近年、海外FX業者同士の競争が加熱しており、優秀なスプレッドを利用できる口座タイプも増えてきています。口座選びを間違えなければ、海外FXでも、国内FXに負けないくらいのスプレッドでトラリピを利用することも可能です。
基本的に国内FX業者では、トラリピの口座のスプレッドはやや広がりやすいです。そのため、トラリピ用の口座と海外FX業者を比較した場合、スプレッドに大きな差がない場合もあります。
税金が高くなりやすい
復興特別所得税を除いたとき、国内FXで上げた所得にかかる税率は、一律で20%(所得税15% + 住民税5%)です。一方、海外FXで上げた所得にかかる税率は、所得に応じて高くなります。利益が大きくなれば税金が高くなりやすいのです。
課税所得金額 | 所得税率 | 住民税率 |
~195万円 | 5% | 10% |
195万~330万円 | 10% | |
330万~695万円 | 20% | |
695万~900万円 | 23% | |
900万~1,800万円 | 33% | |
1,800万~4,000万円 | 40% | |
4,000万円~ | 45% |
課税所得金額 | 所得税率 | 住民税率 |
~195万円 | 5% | 10% |
195万~330万円 | 10% | |
330万~695万円 | 20% | |
695万~900万円 | 23% | |
900万~1,800万円 | 33% | |
1,800万~4,000万円 | 40% | |
4,000万円~ | 45% |
海外FXの税金を計算するときは、課税所得金額の価格帯ごとに税率をかけていきます。例えば、課税所得金額が200万円だった場合、195万円までの部分には「所得税率5% + 住民税率10% = 15%」が課税され、195万円~200万円の部分には「所得税率10% + 住民税率10% = 20%」が課税されます。
また海外FXの場合、税率をかける対象(課税所得金額)は、海外FXで上げた所得ではなく、そこに給与所得の金額などを加えた値です。国内FXでは、FXで上げた所得に20%をかけることができるので、この点でも税金を抑えやすくなります。
海外FXでは大きな利益を上げられる可能性がありますが、税金が高くなる可能性があります。したがって、税金の仕組みを理解して、可能な範囲で節税対策を行うことが重要となります。
海外FXでトラリピをして利益を得るポイント
海外FXでトラリピを利用して利益を出していく上では、いくつか押さえておくべきポイントがあります。それらのポイントについて見ていきましょう。
レンジ相場で取引する
トラリピは、レンジ相場との相性が良い戦略です。トラリピを稼働させる通貨ペアを選ぶときは、一定の値幅でのレンジ相場が長期間続いている通貨ペア、またはしばらくレンジが続きそうな通貨ペアを選択するように心がけましょう。
逆にトレンドが発生している相場では、トラリピは含み損を抱えやすくなりますので、そういった相場での利用は控えたほうが良いでしょう。
含み損に耐えられる資金量が必要
トラリピでは、レンジの幅が広くなればなるほどポジションの保有数が大きくなります。ポジションの保有数が増えれば、当然トータルの取引数量も大きくなります。その状態で、想定しなかった方向に一方向な値動きが生じると、含み損はどんどん拡大します。
例えば、140円〜141円の範囲に0.1円動くたびに注文する場合、11個のエントリー注文を置くことになります。この設定で0.1ロット(1万通貨)ずつショートエントリーするとしたとき、仮に相場が140円から142円に一方的に上昇したら、11個の含み損のポジションを保有することになります。
142円まで一方的に上昇した際の含み損は、ポジションごとに以下のようになります。
ポジション | 含み損 |
1個目(140.0円で取得) | 20,000円 |
2個目(140.1円で取得) | 19,000円 |
3個目(140.2円で取得) | 18,000円 |
4個目(140.3円で取得) | 17,000円 |
5個目(140.4円で取得) | 16,000円 |
6個目(140.5円で取得) | 15,000円 |
7個目(140.6円で取得) | 14,000円 |
8個目(140.7円で取得) | 13,000円 |
9個目(140.8円で取得) | 12,000円 |
10個目(140.9円で取得) | 11,000円 |
11個目(141.0円で取得) | 10,000円 |
ポジション | 含み損 |
1個目(140.0円で取得) | 20,000円 |
2個目(140.1円で取得) | 19,000円 |
3個目(140.2円で取得) | 18,000円 |
4個目(140.3円で取得) | 17,000円 |
5個目(140.4円で取得) | 16,000円 |
6個目(140.5円で取得) | 15,000円 |
7個目(140.6円で取得) | 14,000円 |
8個目(140.7円で取得) | 13,000円 |
9個目(140.8円で取得) | 12,000円 |
10個目(140.9円で取得) | 11,000円 |
11個目(141.0円で取得) | 10,000円 |
含み損の合計額は、16.5万円です。
トラリピを行う場合は、どのレートまで逆行を許容するか、どこまでの損失を許容するかをあらかじめ決めておき、適切なロットの設定と必要な分だけの資金量を確認しておきましょう。
レンジの狭い通貨ペアを選ぶ
トラリピを使う上では、レンジの狭い通貨ペアを選択することも大切です。
レンジが狭ければ、保有することになるポジションが少なくなります。すると、少ない資金でも運用できるようになります。また、取引数量が大きくなりにくいので、ロスカットされるリスクが減るでしょう。
一方で、レンジの広い通貨ペアをトラリピで使うと、ポジション数が増えやすくなります。ポジション数が増えると、証拠金が圧迫され、ロスカットされる可能性が高まります。
したがって、レンジの狭い通貨ペアを選ぶことも、ロスカットを回避するための重要なポイントだといえます。
仕掛ける値幅を狭くしすぎない
トラリピは、あらかじめ決められた価格範囲の中で、決められた値幅ごとに注文していきます。この値幅を狭くしすぎないことも、利益を得るために重要です。
値幅が狭すぎると、注文の数や取引数量が増えやすくなります。その場合、レンジを抜けてしまったとき、大きなポジションを抱えた状態で価格が逆行することになります。したがって、含み損が速いスピードで拡大していきます。
仕掛ける値幅を狭くすると、大きな利益を狙いやすくなりますが、逆に損失のリスクも高まります。設定する際は、想定レンジに合わせて適切な広さに設定しましょう。
海外FXならではのメリットがある
海外FXでトラリピを行う場合、設定に手間がかかったり、VPS(仮想専用サーバー)やEAの購入費用が発生したりします。
上記はデメリットですが、メリットもあります。例えば、海外FXではゼロカットシステムによって損失を限定できます。また、高いレバレッジのおかげで必要証拠金を抑えることや、細かな値動きから十分な利益を狙うことができます。
この他にも、海外FXにはトラリピの欠点を補ってくれる仕組みがあり、状況によっては、トラピリと海外FXは相性が良いともいえるかもしれません。トラリピに挑戦してみたい人は、海外FXの利用も検討してみてはいかがでしょうか。
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