先週の外国為替市場は、米国の中央銀行人事を巡る混乱と米経済指標の強さが交錯し、方向感を欠く展開となりました。ドル円は147円前後を中心に上下動を繰り返し、ユーロドルは欧州の政局不安で軟調、ポンドドルは比較的底堅さを示しました。

8月25日（月）

前週末の下落からの買い戻しが入り、ドル円は目立った材料がない中で147.93円の高値をつけました。ドルの買い戻しを受けて、ユーロドルは1.160台まで押され、ポンドドルは1.344台まで下落しました。

8月26日（火）

トランプ米大統領がクックFRB理事の解任を表明して円高に傾きましたが、「法的根拠がない」と反論されたことが報じられるとすぐに買い戻され、市場は一時的に混乱。ドル円はその後147円台での小動きでした。

ユーロドルは1.16台半ば、ポンドドルは1.34台後半で方向感なく推移しました。

8月27日（水）

ドル円は一時148.18円付近まで上昇しましたが、上値を押さえられる形で反落し、147.4円台まで押し戻されました。仏政局不安から売りが出てユーロドルは1.15台後半まで下落しましたが、その後は1.164台まで回復。ポンドドルも下落幅を戻し、1.35台に乗せました。

8月28日（木）

日銀中川審議委員の発言で利上げ観測が高まり、円買いが加速。ドル円は147円割れとなり、一時146.6円台をつけました。ドルが押される展開となり、ユーロドルは1.169台へ上昇し、ポンドドルは上下しつつ1.35台を維持しました。

8月29日（金）

ドル円は堅調な推移を見せて147.4円台まで上昇しましたが、米PCEが市場予想と大きく乖離しなかったことで9月米利下げが行われるとの思惑が広がって146.8円台まで下落し、その後は方向感なく推移しました。

対円以外でもドル売りが優勢となり、ユーロドルは一時1.17をつけ、ポンドドルは1.34台から反発して1.35台へ戻し、週の取引を終えています。

先週1週間について、ボラティリティの観点からも振り返ります。

先週のドル円は、特別に大きな値動きはありませんでした。とはいえ、トランプ大統領の発言に対する注目度は高く、今後も動向を注視する必要があるでしょう。

なお、先週1週間の24時間平均ボラティリティは以下の通りで、主要FX通貨ペアはいずれも落ち着いた値動きでした。一方、Bitcoinは大きな値動きを見せる日もあり、FXと比較してチャンスがありそうです。

• ドル円：82.9 pips
• ユーロドル：65.5 pips
• ポンドドル：59.5 pips
• Gold：249.2 pips
• Bitcoin：31,702.5 pips

9月2日（火）

• 18:00 ユーロ 8月消費者物価指数（HICP、速報値）
• 18:00 ユーロ 8月消費者物価指数（HICPコア指数、速報値）
• 23:00 米国 8月ISM製造業景況指数

9月4日（木）

• 21:15 米国 8月ADP雇用統計
• 23:00 米国 8月ISM非製造業景況指数

各チャートにボリンジャーバンド（期間：20）の±1σ、±2σを表示して分析していきます。

8月中に発表されてきた米国の主要経済指標から、9月利下げ観測が広がっています。トランプ政権による政治圧力も、下押しムードに拍車をかけています。9月5日発表の米8月雇用統計が、利下げを占う判断材料となりそうです。

ドル円の日足を分析します。

147円台をまたいだもみ合いが続いており、バンド幅も縮小しています。直近高値の起点となる145.85円を明確に下抜けると、円高方向への流れができそうです。

続いて、ドル円の週足も分析してみます。

+1σに沿うようにやや軟調に推移しており、売り圧力が優勢です。明確な方向感は出ておらず、目先はこまめな戻り売りが有効な局面と見られます。

ドル安の影響で、ユーロドルは22日の水準に戻りつつあります。目先は米9月利下げの行方で、米雇用情勢の結果が市場を左右する週となりそうです。

ユーロドルの日足を分析します。

急落から戻った後はミドルラインより上で推移していますが、明確な方向感は出ていない状況です。上方向へのブレイクに警戒しつつ、押し目買いを意識するのが良さそうです。

続いて、ユーロドルの週足も分析してみます。

ミドルラインは右肩上がりをまだ維持していますが、上値が徐々に押されています。とはいえ、買い圧力の方が優勢な状況なので、上目線は継続でいいでしょう。

市場の関心は9月5日の米雇用統計へ移っています。ここで8月に発表された雇用統計と同様に低調だった場合、利下げ観測の高まりからドル売りが強まりそうです。

それでは、ポンドドルの日足を分析します。

目先はミドルラインと+1σの間で推移しており、底堅い展開となっています。1.3139を明確に下回らない限りは、押し目買いを意識するのが良さそうです。

続いて、ポンドドルの週足も分析してみます。

ミドルラインは右肩上がりを維持していますが、バンド幅が縮小してきています。次に動き出すときは勢いが強くなりそうです。目先は1.36の水準を上抜けるかどうかが意識されそうです。