2023.07.03 FXON流 マーケット分析(6/26~7/2)
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為替市場の先週の振り返りと今週のポイント
先週の為替市場は、米国GDPやPCEデフレーターの他に、欧州では消費者物価指数(HICP)が注目された1週間となりました。
先週一番注目されたのはドル円で、FRBが注目する指標である米国GDPで強い数字が発表されると、ドル円は144.20円から144.80円まで上昇、その後ドルの強さを保ち、翌日の6月30日の午前中には145.00円をつけました。
また、欧州ではインフレに関わる指標である消費者物価指数(HICP)の発表が6月30日にあり、前年比コア指数が前回結果と今回予想の数字を上回り、ユーロドルは1.0835から1.0845まで上昇しました。
今週は、欧州や英国で大きな指標はないものの、米国でISM製造業景況指数や雇用統計といった重大指標があるため、どの通貨ペアもドルの強弱によって急騰や急落が見られる一週間となりそうです。
そして、145.00円に到達したことから、政府日銀に関係する要人発言のレベル感がより一層強まりを見せているため、為替介入を警戒した上値の重たさも見られるでしょう。そのため、週明け以降も日本の要人発言は注目され、「いつでも介入する用意ある」や「レートチェック」といったヘッドラインには十分気を付ける必要があります。
今週の予測
各チャートにボリンジャーバンド(期間:20)の±1σ、±2σを表示して分析していきます。
ドル円(USDJPY)
先週のドル円は円安基調を継続、1週間を通して政府日銀の為替介入を警戒しながら上値を試し、東京時間でレンジを形成しながらNY時間に上抜けするという値動きが目立ちました。
東京時間では、鈴木財務相や神田財務官、松野官房長官といった日本の要人たちが口先介入を実施、どの発言も押し目となり、NY時間前後の米国の経済指標で強い数字が発表され高値を更新、週の初めの143.00円から、週の終わりの145.00円まで上昇しました。そして、金曜日のNY市場引けで、ドル円は144.30円で取引を終えました。
基本的に、日米の金融政策に変更はなく依然として金利差があるため、ドルが買われ円が売られるという地合いが続いています。145.00円の高値をつけて一服していますが、安値を割る動きはまだ見られないため、日本円に対してまだまだ米ドルが強い流れが続きそうです。
今週は、JOLTS求人件数や米国雇用統計といった米国の景気の強さを測る指標が発表されますが、景況感の先行指標であるISM製造業景況指数やISM非製造業景況指数の発表もあり、これらの指標は弱い数字が続いているため指標発表時の下落に注意する必要があります。
ドル円の日足チャートを見てみましょう。ボリンジャーバンドの+1σと+2σの間で推移する、分かりやすいバンドウォークとなっています。ただし金曜日の日足は、久しぶりに明らかな陰線が出現して連騰は7でストップしています。
上昇の勢いが非常に強く、+1σまでもかなりの距離がある高値圏に位置しているのが現状です。ですが先週と変わらず、+1σを明確に割り込むまでは買い目線で問題ないでしょう。
目先のドル円4時間足を見ると、トレンドライン、チャネルラインが引けそうです。現状はチャネルライン付近からの下落局面なので、トレンドライン付近での買い戦略が考えられます。
ただし、ファンダメンタルズ要因で激しく乱高下する傾向があるため、深追いは禁物です。
ユーロドル(EURUSD)
先週のユーロドルは、6月27日から6月28日まで行われたECBフォーラムでのラガルドECB総裁の声明で「7月会合にも利上げをする」といったタカ派な姿勢から、引き続きユーロが買われ、高値である1.0980をつけました。
しかし、米国GDPが強い数字を見せたことからドルが強くなり、6月29日のユーロドルは1.0940から1.0860まで下落、しかし欧州の消費者物価指数(HICP)で強い数字が発表されてから上昇に転じ、6月30日の21時30分に発表されたPCEデフレーターの数字が弱かったことから、ドルが売られさらにユーロドルは上昇、6月30日23時の高値は1.0930となりました。
そして金曜日のNY市場では、ユーロドルは1.0910で取引を終えました。
今週は、欧州で大きな指標はありませんので、ユーロドルはドルの強弱に振られる1週間となりそうです。
ちょっと引いた視点からユーロドル日足を見てみると、高値は一定水準で押さえられており、安値は切り上げている形状です。ブレイクした方向に着いていくのが常道ですが、ダマシには気を付けてください。何回か振り回されたのち、ようやく方向が定まることも多いからです。
ユーロドルの4時間足を見ると、直近では方向感なく乱高下していることが見て取れます。ボリンジャーバンドのミドルラインを中心にした、短期的なレンジ相場と解釈することも可能で、短い値幅を狙うなら逆張りが有効な展開です。
ポンドドル(GBPUSD)
先週のポンドドルは、週初めはポンドとドルの強さが拮抗し、方向感が見られませんでしたが、週半ばにドル円の上昇でポンドドルが下落する値動きが見られました。金曜日の米国指標であるPCEデフレーターで少し弱い数字が発表され、ドルが売られたので、ポンドドルは安値の1.2590から1.2730まで上昇、しかしポンドの強さを保てず下落したため、先週金曜日のNY市場引けは、1.2696でした。
今週は、英国で注目度が高い指標はないため、ユーロドルと同じくドルの強弱に振られる1週間となりそうです。
ポンドドルの日足を見てみましょう。高値を突破してバンドウォークしていたところから、+1σを割り込んだ揺り戻しのような形状になっています。ボリンジャーバンドのミドルラインに一度は到達しているため、ここからさらに押すか、このあたりが一時的な底値になるかに注目。.6%の間に戻されるケースも想定されます。
全体としては上昇目線で問題ないと思いますが、ドルの経済指標や金利関連のニュース、日銀の介入といったファンダメンタルズ的な不確定要素がたくさんある時期なので、1つの方向に固執しすぎない方が良いかもしれません。
ポンドドルの4時間足です。直近の上昇に対して、フィボナッチ・リトレースメントを当てると、38.2%と50.0%の間のゾーンでの反転となりました。このまま上昇に回帰するのならほぼ教科書通りの半値戻しですが、もっと深く押すケースにももちろん警戒が必要。
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