2022.12.05 FXON流 マーケット分析(11/28~12/4)
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為替市場の先週の振り返りと今週のポイント
先週の為替市場は、年末相場入りに加えサッカーW杯の予選が本格化し、特に前半は小幅な値動きに留まりました。しかし12月1日に、FRBパウエル議長が12月からの利上げペース鈍化の可能性を示唆されたことを契機に、ドル売りが加速しました。翌日2日の米雇用統計は市場予想を上振れしてドルは反発したものの、反発は限定的に。その結果、ドルの下落が決定的となった週になりました。
今週の予測
ドル円(USDJPY)
米長期金利の下落が更なる下落を示唆、しかし再び値動きの停滞も考慮。
先週のドル円の週足は大幅な陰線となりました。それまで2週間続けて方向感のない取引が続いたものの、2週間分の値動きを一気に放出するような下落となっています。
12月1日のパウエル議長の発言でドル売りが進むと、ドル円は11月から支持帯として機能していた137円台を下方ブレイク。支持帯割れを契機に一気に下落が進みました。翌2日も東京時間から下落が進み、節目価格の135円割れに。米雇用統計発表後に上昇を見せたものの、3日に入ると下落を再開し134.31円で取引を終えており、反発は限定的となりました。
今週は米雇用統計の発表後の取引となります。よって相場付きに変化が生じやすい週です。パウエル議長の利上げ鈍化示唆発言及び米長期金利の下落があるため、ドル円は下落の方向と考えることができます。米10年債金利が節目の3.5%を2日に割れて取引を終えており、今週もドルの下落は続く可能性があります。
ただし既に年末相場入りしており、今後は徐々に値動きが少なくなる点は留意が必要です。よって12月米雇用統計で年内の大型イベント終了として、今週から大きな値動きが生じない可能性も。また今週からサッカーW杯の決勝トーナメント入り、というタイミングも要注意です。
今週のドル円は値動きの方向性に加えて、値動き自体が出るのか、という点に注意が必要といえるでしょう。
ユーロドル(EURUSD)
ドル売りとユーロ買いが上昇を後押しも、半値戻しで下落する可能性も。
先週のユーロドルの週足は、長い陽線を形成して大幅高となりました。週の前半は200EMA(200日移動平均線)を前後する取引が続いたものの、1日のパウエル発言を契機に200EMAを上方ブレイクする形となっています。2日の米雇用統計発表後に急落したものの、往って来いとなり全戻しとなり、週の高値付近の1.0540ドルで取引を終えました。
今週のユーロドルは上昇の継続性がポイントです。攻防が続いた200EMAを上方ブレイクした形となっており、テクニカル的には上昇継続が示唆されています。米長期金利の下落も続いており、ユーロドルの上昇をサポートしそうです。
またユーロの他通貨に対する相対的な強さを表すユーロインデックスは、これまでの高値を1~2日の上昇で上方ブレイクしました。ドルの下落圧力のみならず、ユーロも上昇方向に進んでおり、ユーロドルの上昇は続く可能性があります。
今週のユーロドルは2月からの高値に対し半値戻しで下落が生じるか、それともドル安・ユーロ高を背景にこのまま上昇が続くか、いずれになるか注目されます。
ポンドドル(GBPUSD)
英経済悪化の中で4週間続けて上昇も、下落時の大幅安に注意。
先週のポンドドルの週足は陽線を形成。4週間続けて陽線形成となり上昇トレンドが継続中です。イギリスは、アメリカ以上に進むインフレを背景に経済状況が悪化しています。しかしポンドドルは、英経済に関係なく上昇が継続中で、1.2287ドルで取引を終了しました。
ポンドドルの上昇を支えるのは英株価指数FTSE100です。11月後半に入り米株式市場の上昇はひと段落したものの、英株式市場は上昇を継続。その結果、年初来高値の更新こそ果たしていませんが、年初来の高値水準に到達しました。1~2日は下落したものの、同水準の維持はなされています。
また先週は、ポンドドルの値動きに影響を与える英米長期金利差が拡大を開始。10年債金利差は11月半ば以降▲0.6%台を前後する状態でしたが、先週はマイナス幅の縮小が進み最終的には▲0.3%台で取引を終えています。ポンドドルは英経済悪化の中での上昇に加え、英米長期金利差が上昇の背中を押す形となりました。
今週のポンドドルは英米金利差から上昇可能性が示唆されているものの、4週間続けて上昇が続いており、反落には十分な注意が必要です。ポンドドルの上昇を支えたFTSE100も1~2日に反落しています。英経済悪化という、ファンダメンタル的にはマイナス要因を抱えたままポンドドルは上昇が継続中です。よって反落する際は、一時的な下落に留まらず大幅安となる可能性もあります。
米雇用統計明けで相場付きに変化が生じやすい今週は、英経済悪化の中でのポンドドル上昇の継続性が試されます。下落に至る場合は大幅安への警戒も必要となりそうです。
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