2022.11.07 FXON流 マーケット分析(10/31~11/6)
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為替市場の先週の振り返りと今週のポイント
先週はFOMCに米雇用統計とイベント多数の週となりました。ただし良くも悪くもサプライズはなく、各イベントは市場予想に近い形での着地となっています。
1週間を通して見ると、夏以降進んだドル高が一段落した可能性の高い週となりました。特に米雇用統計を契機にドル安が進み週の取引を終えました。
為替市場は、12月以降の米国の利上げペース鈍化を織り込み始めており、鍵を握るのは堅調を維持する米国の雇用指標です。雇用指標は一般的に経済の遅行指標として知られています。4日の米雇用統計について、数字自体は良好でした。しかし米国ではハイテク企業中心に採用凍結などが報じられており、雇用指標の悪化が利上げペース鈍化の決定的サインとなり、ドル安の背中を押す可能性があります。
今週は米雇用統計明けの週です。米雇用統計明けの週は、相場付きが変化するケースが多くなります。先週までに比べ、流れが変化する可能性を踏まえた対応が必要といえるでしょう。
今週の予測
ドル円(USDJPY)
ドル高一服、雇用統計明けの週にドル安が加速するか。
先週のドル円の週足は陰線を形成し、3週間続けて陰線となりました。日本政府・日銀の為替介入もあり、節目価格150円が天井として意識されています。
ドル円は10月までの上昇トレンドが既に一服しており、足元では146~148円台でレンジ相場を形成中です。FOMCと米雇用統計を契機に上昇トレンド再開の期待感も一部ではありましたが、両者ともに発表後はドル安に進みました。
今週は、146~148円台のレンジを抜けられるかがポイントとなります。4日の終値146.65円は、レンジの下限近くに位置しています。10月27日の145.10円が直近安値であり、本水準を明確に下に抜けると次の目標値は、7月安値と10月高値のフィボナッチ・リトレースメント38.2%の存在する143.7円付近です。
週足で見ると、現在のドル円はフィボナッチ23.6%の攻防が続いている状態です。雇用統計明けの今週から、下落が加速しフィボナッチ38.2%の143.7円付近に向かうのか、という点が注目されます。
その中で、10日(木)に10月消費者物価指数(CPI)及び新規失業保険申請件数の発表があるため、それら指標の結果が今後のドル円の大きな鍵を握るのと考えられます。
ユーロドル(EURUSD)
ドルとユーロのどちらがより売られるかに注目。
先週のユーロドルは31日(月)から4日連続で日足が陰線となり下落した後、4日(金)に急騰し4日分の下落を取り返しました。結果的に週足は下ヒゲの長い陽線で終了し、ほぼ"往って来い"で週を終えています。
ユーロドルの年初来安値は9月28日の0.9535ドルですが、10月以降は0.97ドル台でサポートされる状態です。先週も0.9730ドルまで下落の後に急反発しました。
10月以降のユーロドルは、節目価格1.0000ドルと支持帯の0.97ドル台でのレンジ状態です。よって今週以降、レンジを上下どちらに抜けるのか、という点がポイントです。ユーロドルは、ドルの他通貨に対する相対的な強弱を表すドルインデックスと逆相関の値動きとなるケースが多くなります。
雇用統計明けの今週以降、ドルの下落が進むなら、ユーロドルは節目価格1.0000ドル到達、そして8月以降跳ね返されている1.0000ドル台の維持の可能性が高まります。
ただしユーロ圏の経済状態が予想以上に悪化しており、ECBは当初計画の利上げを見送る方針です。ファンダメンタル的にユーロは弱含んでいます。
ドルの下落が進む場合はユーロドル上昇の可能性が高いものの、ファンダメンタルの弱いユーロとドルのどちらがより売られるか、という点にも留意が必要となりそうです。
ポンドドル(GBPUSD)
ペナントブレイクのダマシパターンによる下落進むか。
スナク首相の就任後、ご祝儀相場的に上昇したポンドドルは、ご祝儀相場の剥落とともに先週は下落しました。4日(金)は大きな上昇を見せたものの、週足は陰線を形成しています。
ポンドドルは10月半ば以降、ペナントブレイクのパターンで上方向に進み始めていました。しかし、ペナントブレイクはダマシも生じやすいパターンです。その懸念通り、ペナントの上方ブレイクを始めたポンドドルですが、先週は上方ブレイクの値動きを超える下落が進みました。
そして3日(木)は、ペナントの上のトレンドラインを下回る1.1151ドルで取引を終えました。ただし4日(金)の上昇により、先週はダマシパターンによるペナントの下方ブレイクを一旦回避した形となっています。
ポンドドルが先週取引を終えた1.1372ドルは、トラス前政権が経済対策を発表する直前の水準です。ポンドドルは大枠では下落トレンドが続いています。悪化する英経済状況とともにジリ安が続くのか、それともスナク政権の経済政策などが評価されポンド買いが進むのか、ペナントブレイクは下方向に向かいつつありますが、今後の行方が注目されます。
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