海外FXのレバレッジ制限とは?制限の理由とタイミングを解説
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海外FX業者では、国内FX業者の最大25倍を超える500倍~無制限のレバレッジでトレードできることが大きな魅力です。
ただし、状況によってレバレッジ制限が課され、最大のレバレッジで取引できないこともあります。そのため、実際に取引する前に、あらかじめレバレッジ制限が起こる場面を把握することが大切になります。
当記事では、海外FX業者でレバレッジ制限が行われる理由と、どのような場面でレバレッジ制限がかかるか具体的に解説していきます。
海外FX業者がレバレッジ制限をする理由
国内FX業者と比較すると高いレバレッジが魅力の海外FX業者ですが、常に最大のレバレッジで取引出来るわけではありません。
海外FXでは非常に高いレバレッジゆえに、顧客・ブローカーともにリスクが高まる取引においては、徹底したレバレッジ制限が行われるのです。
レバレッジとは、自己資金を担保として、預けた自己資金以上の取引を可能にするシステムです。100倍のレバレッジを利用すると、証拠金の100倍までの取引ができます。少ない自己資金でもハイリターンを狙える一方で、損失になった場合のリスクも大きくなるため、上手に活用するためには正しい知識が必要です。
海外FXの高いレバレッジを利用する場合、大きな利益と大きな損失は紙一重です。予期せぬ事故につながらないよう、あらかじめレバレッジ制限に関する知識を身に着けておきましょう。
ここではレバレッジ制限が存在する理由を解説します。
リスク増大によるトレーダーの損失を抑えるため
ハイレバレッジ取引の中でも特にリスクの高い取引に対しては、トレーダーの損失を抑えるためにレバレッジ制限がかかります。
具体的には、ボラティリティが高い銘柄や、価格変動が激しくなる時間帯での取引です。
ボラティリティとは銘柄の価格の変動性のことです。ボラティリティが大きい・高いとは、値動きが激しいことを意味します。ボラティリティが大きい銘柄は大きなリターンを狙える一方で、リスクが高いため取引には注意が必要です。
ボラティリティが高くなる取引では、一気に損失が発生してロスカットされる可能性が非常に高まります。
投資者が許容できる範囲を超えた損失をもたらすこともあるため、レバレッジ制限を行い事前に大きな事故を防ぐのが目的です。
同じ金額の必要証拠金を使った取引でも、レバレッジが制限されることで損益は以下のように変わります。なお以下は、ドル円=130円で10pips変動した際の損益です。
必要証拠金 | レバレッジ | ロット数 | 損益 |
13,000円 | 100倍 | 0.1ロット | ±1,000円 |
13,000円 | 1,000倍 | 1ロット | ±10,000円 |
必要証拠金 | レバレッジ | ロット数 | 損益 |
13,000円 | 100倍 | 0.1ロット | ±1,000円 |
13,000円 | 1,000倍 | 1ロット | ±10,000円 |
レバレッジ規制とは金融ライセンスの取得元により、レバレッジの上限が規制されていることを指します。例えば日本のFX業者は、金融庁の規制により最大レバレッジは25倍です。一方レバレッジ制限は、特定の条件で最大レバレッジが制限を受け、上限が下がることを指します。
FX業者の負担を抑えるため
トレーダーの損失を抑える目的の傍ら、FX業者の負担を抑えて財務的健全性を確保することもレバレッジ制限の目的です。
海外FXブローカーでは、一部を除いてマイナス残高保護規制(ゼロカット)が義務付けられています。このシステムのおかげで利用者は証拠金以上の負担を求められることはありません。
しかし、ゼロカットシステムによって生じた負債は業者の負担であり、大量の証拠金を用いた過度のレバレッジ提供は、上記のようにブローカーのリスクになりかねないのです。
レバレッジ制限を行い極端な口座残高以上の損失を減らすことで、ブローカーは損失補填による負担が抑えられるため、財務的健全性を保つ手助けとなります。
海外FX業者が国内FXと比べてハイレバレッジを提供できる理由は、レバレッジ規制の少ない海外の金融ライセンスを保有して運営しているためです。なお、金融ライセンスによって信頼度が異なるため、安心して利用するためにはあらかじめ確認する必要があるでしょう。
海外FXのレバレッジ制限が発生するパターン
海外FX業者がレバレッジ制限を行うのは、リスクの高い取引となる以下のような場面です。
- 有効証拠金残高によるレバレッジ制限
- 保有ロット数によるレバレッジ制限
- 銘柄によるレバレッジ制限
- 経済指標発表時のレバレッジ制限
- 市場オープン・クローズ前後のレバレッジ制限
- 個別トレーダーのレバレッジ制限
海外FX業者では取引条件の違う複数の口座タイプを用意していることが基本ですが、口座タイプによって異なるレバレッジを設定していることも多く見られます。一般的には、スプレッドが広い「スタンダード口座」タイプでは、最大レバレッジは高く設定されています。一方、ゼロ口座やプロ口座、Raw口座などと呼ばれる「ロースプレッド口座」タイプでは、スタンダード口座と比較して低いレバレッジが提供される傾向があります。
有効証拠金残高によるレバレッジ制限
海外FX業者では、有効証拠金残高によるレバレッジ制限を採用していることが多くあります。有効証拠金残高とは、口座残高に含み益・含み損を合計した証拠金のことです。
有効証拠金が増えたときにレバレッジ制限をかけることで、取引額を大きくしすぎてリスクが高まることを防ぎます。
有効証拠金残高によるレバレッジ制限は、いきなり大きく制限されるわけではなく、いくつかの段階に分かれているのが標準的です。例えば、ある大手海外FX業者は、以下のように有効証拠金残高によってレバレッジ制限を課しています。
有効証拠金残高 | 最大レバレッジ |
999ドルまで | 無制限(21億倍) |
1,000ドル〜4,999ドル | 2,000倍 |
5,000ドル〜29,999ドル | 1,000倍 |
30,000ドル以上 | 500倍 |
有効証拠金残高 | 最大レバレッジ |
999ドルまで | 無制限(21億倍) |
1,000ドル〜4,999ドル | 2,000倍 |
5,000ドル〜29,999ドル | 1,000倍 |
30,000ドル以上 | 500倍 |
レバレッジ制限がかかることによって、少額資金のときのような資金効率で取引することができなくなるため、注意が必要です。
また、レバレッジ制限の段階は業者によって異なるので、事前に確認しておく必要があるでしょう。
保有ロット数によるレバレッジ制限
合計の保有取引ロット数によってレバレッジ制限をかける海外FX業者もあります。保有ロット数でのレバレッジ制限は、一般的に「ダイナミックレバレッジ」と呼ばれています。
有効証拠金残高での制限とは異なり、資金が増えても変わらないレバレッジで取引が可能です。
ただし、利益が増えたことにより買い増し、売り増しなど新たなポジションを発注した際に、レバレッジ制限が発生するため注意しましょう。
また、ナンピンロジックを採用したトレード手法やEA(自動売買システム)では、ロット数によるレバレッジ制限の思わぬ影響を受ける可能性があります。
銘柄によるレバレッジ制限
銘柄によって異なるレバレッジが設定されることも一般的です。例えば、世界一の取引量を誇る「ユーロドル」と、経済状況の不安定なトルコリラ(TRY)を含む「ドルトルコリラ」では市場の流動性が大きく異なります。
流動性は日々の変動率に直結します。変動率の高さに比例してリスクも増大するため、ブローカーは最大レバレッジを銘柄ごとに設定する必要があります。
レバレッジ制限を受けにくい銘柄は、取引量が多いメジャー通貨ペアと呼ばれるドル円やユーロドル、ポンドドルなどです。流動性が高く安定しているため、どの海外FX業者でも最大レバレッジで取引できます。
一方で、取引量が少ないトルコリラやメキシコペソ(MXN)、南アフリカランド(ZAR)のようなマイナー通貨ペアやエキゾチック通貨ペアは、ボラティリティが大きくハイリスクであるため、メジャー通貨ペアの1/5〜1/10程度にレバレッジが制限されます。
また、貴金属やエネルギー、仮想通貨(暗号資産)のようなCFD銘柄もボラティリティが大きいため、最大レバレッジが低く設定されることがほとんどです。
経済指標発表時のレバレッジ制限
経済指標発表時など、相場が大きく動きそうなタイミングでもレバレッジ制限が課せられます。市場が一方的に動くことで瞬間的に流動性が下がり、リスクが高まるためです。
指標発表時のレバレッジ制限は、直接的な影響を受ける通貨ペアのレバレッジが制限されます。また、経済指標だけでなく、大統領選挙など大きな政治イベント時にもレバレッジ制限が行われます。
関連する通貨ペアとは、例えば米消費者物価指数であれば米ドル(USD)、豪州の失業率&新規雇用者数であればオーストラリアドル(AUD)、英大統領選挙であれば英ポンド(GBP)などです。
なお、指標発表時のレバレッジ制限がないブローカーも存在します。しかし、指標発表時の取引はリスクが高まるため、制限が無いとしてもリスクを考慮した上で慎重に取引する必要があるでしょう。
市場オープン・クローズ前後のレバレッジ制限
市場のオープン・クローズ時のレバレッジ制限も一般的です。週末や週明けなどのオープン・クローズ時は流動性が低い時間帯のため、レバレッジを200倍前後に抑えているブローカーが見られます。
レバレッジが制限される時間はブローカーによって異なりますが、15分程の短い時間の場合もあれば数時間程度続く場合もあります。
個別トレーダーのレバレッジ制限
海外FX業者側の判断で、個別のトレーダーにレバレッジ制限を課すケースもあります。利用規約に違反するようなトレードをした場合などに行われる措置です。
- 両建て
- 窓狙い
- スキャルピング
- 指標発表時のハイレバレッジトレード
ブローカーによって取引ルールは異なりますが、上記のような禁止されることの多いトレード手法を行うと、レバレッジ制限が行われる可能性があるためご注意下さい。
レバレッジ制限によってどのような影響がある?
レバレッジ制限が課されると、取引に以下のような影響を与えます。
必要証拠金が増えて取引の柔軟性が下がる
レバレッジが制限されると、ポジションの取得に必要な証拠金が増加します。その結果、ハイレバレッジのときよりも取引に使うことができる金額が減り、ポジション構築の自由度が低下します。
仮に1,000倍のレバレッジが100倍に制限される場合、取引できる額は制限前の1/10です。制限により、追加でポジションを持ちたいときや、ロット数を増やしたい場合に対処できないといったことが起こります。
証拠金維持率が低下しやすい
レバレッジが制限されて必要証拠金が増えると、ロスカットの基準となる証拠金維持率が低くなりやすくなります。
証拠金維持率が低下し、予期せぬ場面でロスカットされる危険性が高まることには注意が必要です。
証拠金維持率とは、有効証拠金(純資産)に対する、ポジションを保有するために必要な証拠金(必要証拠金)の割合です。「証拠金維持率=有効証拠金(純資産)÷必要証拠金×100(%)」で算出します。有効証拠金に対して必要証拠金が多いほど証拠金維持率が低くなるので、低いほど資金に余裕がないことを意味します。
レバレッジ制限もブローカー選びの基準に
海外FX業者では、主にリスクの高まる取引に対してレバレッジ制限が行われます。
具体的には、有効証拠金残高が増えた場合、ボラティリティの大きい銘柄、相場が大きく動くタイミングなどです。
レバレッジ制限はトレーダーやFX業者のリスクを抑えるためのものですが、予期せぬタイミングでのレバレッジ制限は取引における大きな弊害となります。
思わぬ損失を被ることのないよう、レバレッジ制限がどのように発動するかも理解した上で海外FX業者を利用しましょう。
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貴重な意見をいただきありがとうございます。
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